SVブログ

2017年FC統計調査が発表されました

先日、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)より、2017年度のフランチャイズチェーン統計調査結果が発表されました。

それによると、2017年度の日本国内フランチャイズチェーン数は1,339チェーン(昨年比+0.3%)、店舗数263,490店(同+0.1%)、売上高は25兆5,598億円(同+1.8%)と、いずれも前年度を上回る結果となりました。主な業種の傾向をまとめてみました。

1. 小売業

  • コンビニエンスストア…客単価増により成長を維持。有名店やテレビ番組とのコラボレーション企画商品など、お弁当や総菜・デザートの新商品を次々に発表し、メディア露出により話題性を高めています。こだわりや安全性、手軽さを訴求することで、高齢者層・働く女性層にも受け入れやすくなっているようです。チェーンの統合により寡占化も進んでいる業態です。
  • ドラッグストア…医薬品だけでなく、最近は食品・日用品の売場を拡充した店舗をよく見かけるようになりました。さらに数年前から高まるインバウンド消費に、免税対応・外国人従業員による接客・クレジットカード決済などしっかりと対応した店舗も多く売上高を伸ばしています。

2. 外食業

  • ハンバーガー…大手チェーン(と言えばわかりますね)の業績が好調で、売上高前年比+8.7%と、全業種の中で最も前年比が高くなっています。しかし、最近あるハンバーガーチェーン店では食中毒のニュースが流れました。「肉ブーム」と言われる近年ですが、肉に限らず外食産業は食べ物を扱う商売なので、衛生管理や風評被害のリスクは常に注意を払い続ける必要があります。
  • 居酒屋…店舗数・売上高ともに前年比越え。前年比100%を超えたのは2014年度以来3年ぶりです。これまでの主流であった「総合居酒屋」のモデルから脱却して専門店化を進めたことが理由の一つでしょう。また、今年7月に改正健康増進法が成立、東京都ではさらに「受動喫煙防止条例」を制定し、飲食店は原則禁煙としました。店内の禁煙・分煙によりファミリー層の来店増加が見込める一方で、喫煙者が敬遠して客単価に影響を与えそうです。

3. サービス業

  • コインランドリー…近年注目を集めている投資型FCの代表例です。ライフスタイルの変化と副業志向などでFCチェーン店は増加傾向にあるようです。一方で、ファストファッションの流行やスーツスタイルの減少など職場環境の変化により、クリーニング店の減少は続いています。
  • 学習塾・カルチャースクール…学習塾は、学習指導要領の改定を見据えて英語教育・プログラミング教育に着目したコンテンツが急速に伸びています。また、フィットネスクラブの店舗数伸長が顕著とのこと。24時間利用可能・小型店舗・高年齢層をターゲットにした店舗が増加しています。

出典:JFA『フランチャイズチェーン統計調査』

どの業種でも、市場環境や社会制度の変化を敏感に受け止めて対応できている企業が売上高を伸ばしていると言えます。個人経営のお店が減る中でフランチャイズ店舗に置き換わっている地域や商売も見られますが、その背景には、フランチャイズチェーンという業態自体が、新商品・新サービスの開発競争にさらされているという一面があり、結果的にビジネス面で優位に立てている場合もあると思われます。

しかしながら、一時の「流行」ではビジネスは長続きしません。地域や市場に長く支持される商品・サービスなのかを良く見極めるという観点を持って、これら統計調査の結果を読むことも非常に大切であると考えます。

« »