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フランチャイズを活用した人材不足への対応策

近年、人材不足は国内のほとんどの業種で深刻な課題となっています。ある人材派遣会社の調査結果では約9割の企業が人材不足を感じているということです。これだけ長期にわたり人材不足が叫ばれているということは、人口や生産性など構造的な部分にも多くの課題があると言えそうです。
人材不足への対応策については様々な提言が出されています。それらの施策をフランチャイズという観点でとらえると、次のような施策が有効ではないかと考えます。

1.採用活動の見直しとミスマッチ防止

人材を採用する媒体の王道として求人誌やハローワークがありますが、その他にも応募につなげる施策は様々あります。売り手市場では、積極的にアピールしなければ良い人材はどんどん他の企業に採用されていきますので、まずは積極的に採用活動を行うことが大切です。
フランチャイズ企業の多くは、自社ブランドの認知度を高めるためにホームページやSNSで情報を提供しています。不適切な発信による信用失墜に注意は必要ですが、店舗数が多い、全国的に著名であるなどのイメージは、応募する人にとっては安心材料です。自社の採用活動がうまく合致するよう、FC全体のスケールメリットを活用してほしいと思います。
また、求職者に提供する情報が不足していると、入社後のミスマッチによる離職が発生しやすくなります。仕事内容や企業の求めるスキル、給与・昇給・福利厚生・休日などは、企業と応募者双方の認識がきちんと合うように面接や採用試験の段階で工夫しましょう。

2.社内の人材教育を見直し

入社後のOJTやOff-JT研修により仕事の要領や目的、全体像を身に付けることは、従業員戦力化の第一歩です。規模の小さい企業では、人材育成に対する取組について、従業員の自主性にゆだねている傾向がありますが、フランチャイズ運営の場合、オペレーションと呼ばれる業務内容、手順、チェック方法など基本的な仕事の多くがマニュアル化されています。
当社「パソコン教室わかるとできる」においても、新人インストラクター向けの教室規定の解説や、教室運営の指針となる事例紹介を動画でいつでも見られるように環境を整えています。また、FC加盟法人が本部スーパーバイザーと一緒に直営校運営を見学・体験するなど、日頃の運営上の悩みを相談し解決のきっかけをつかむ窓口を設けています。仕事上の問題を早く解決できることは、スタッフの不安を減らしスタッフ本来の力を発揮できる環境を作ります。
フランチャイズ契約では、加盟者への情報提供や研修開催をロイヤリティの対価として規定しているものもあるでしょう。FC加盟法人は、本部が用意した研修制度を自社内で上手に活用して、採用したスタッフが早く業務を覚えて仕事の充実感を持てるようにしていくことが大切です。

3.経営者自らが企業理念を語ること

最後に、もっとも重要なことは、経営者自らが企業理念を語り、実践することです。
教育による知識や技術の向上も大切ですが、企業の目指す方向が全スタッフ共通の意識として浸透しているかは、人材育成の土台ともいえる事柄です。夢やビジョンをもっとも熱く語れるのが経営者であり、その手段としてのフランチャイズ事業の重要性、夢やビジョンを共有することでスタッフが得られる経験、報酬、喜びをもっとも明快に説明できるのも経営者です。
起業の時やフランチャイズ加盟の時に志した目的・目標を、経営計画という形にして、全員で目標に進んでいく体制を構築していくことで、会社の中にいるスタッフは成長していきます。

(出典:『中小企業白書』2018年版)

パッケージが確立したフランチャイズ事業においても、収益を最終的に決定するのは人の力です。採用したスタッフが定着しない職場はノウハウも定着しません。労働条件の改善を含めて、人材育成は全社的な取り組みととらえることが重要です。

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