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日本のリカレント教育を先導するシニア層

近年「リカレント教育」という言葉が色々なニュースの話題になっています。

リカレント教育とは、社会に出て働いている人が、必要に応じて大学などの教育機関に戻って再び学ぶことができる教育システムのことを指しています。ヨーロッパでは広く社会に浸透しており、国民が就労と教育を繰り返して個人の能力を高め、できるだけ長く働いてもらうことが、国土面積や人口の小さい国の国力を高めるためには必要不可欠であるという考え方が根付いています。そのため、ワークライフバランスを重視しながら、国や企業が社会人の学び直しを積極的に後押ししているのです。

日本も高齢化が進み「人生100年時代」と言われるようになりました。「学生時代、社会人時代(現役時代)、引退後の生活」という3つの人生ステージのなかで、これまで余生と言われていた引退後の生活期間が、現役時代の長さとあまり変わらなくなってきています。また、現役時代の長期化に加えて終身雇用制度が崩れた結果、転職を繰り返したり、退職後に起業したりとステージの移行を数多く経験する「マルチステージ」の人生に突入しています。

しかし、そのような状況にある中でも、日本でのリカレント教育は普及しているとは言えません。社会人が大学や大学院に再入学し通学する割合は、海外の他の国と比べて非常に低水準です。日本では、会社を休んで学び直しをすることが「新しい能力の獲得」ではなく「キャリアのブランク」と評価されることがまだ多いようです。働き方改革などで雇用に対する考え方は柔軟になりつつありますが、リカレント教育の浸透にはまだ時間がかかるでしょう。

一方で、現役を引退したシニア層の意識も大きな変化が見られます。2018年のソニー生命の調査によれば、「学び直ししたい」シニア世代は全体の約3分の1にのぼっています。学び直ししたい内容も、語学、歴史、パソコン・インターネットなど多岐にわたっています。これまで「生涯学習」と呼ばれ福祉的な意味合いの強かったシニアの学び直しは、より仕事や社会生活の充実に直結するようになりました。

出典:ソニー生命保険『シニアの生活意識調査2018』

「パソコン教室わかるとできる」に通学している生徒さんの中にも、勤め上げた会社を退職後、パソコンスキルを身につけて新たな仕事に就く方が大勢います。これまでの仕事の経験を活かしたコミュニケーション能力にITリテラシーが加わることで、新しい職場でもイキイキと活躍してくださっています。

こうしてみると、日本の「リカレント教育」は、シニア層の就労や社会進出と関わり合いながら拡大していく可能性が十分あります。国際競争力の高い国ほど、教育機関におけるリカレント教育が積極的に推進されています。今後、シニア層や現役世代への教育支援は若者への教育と同じくらい大切になります。人生100年時代において、シニア層がますます活躍する社会づくりをパソコン教室も支えて行きたいと考えています。

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