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「わかるとできる」は、「教育」産業 ~その1~

社会人教育には大きく2つの分野があります。一つは、「高度職業教育関連サービス」と呼ばれ、IT技術、法務、会計、経営などの分野の専門知識や資格を身につけ、専門職を育成する教育サービスです。資格試験学校などはこれに含まれ、近年拡がりつつあるeラーニング市場にもこの分野に当てはまる教育産業が多く見られます。

もう一つは「生涯教育関連サービス」と呼ばれているもので、人生の様々な段階における多様な趣味・教養・ライフスタイルに関する学習ニーズに応える教育サービスを指しています。料理教室・音楽教室・カルチャースクールなどが代表的なものです。

パソコン教室は、市場規模の分類では「習い事市場」に含まれることが多いですが、情報処理資格取得のためのビジネススクールから発展してきた教室もあるため、職業教育と生涯教育の両方の性質を持つ教育産業といえます。

「パソコン教室わかるとできる」は、「IT教育を通じて人々の生活を豊かにする」ことを目的として、全国に200以上の教室を展開しています。生徒の約半数は60歳以上のアクティブ・シニアと呼ばれる方々です。現在は仕事に役立つパソコンスキルを身につけることだけでなく、趣味のために活用する方もたいへん増えています。

ビジネスという側面で教育産業を捉えると、以下のような3つの特長があります。

1. 先生と生徒の関係

教育ビジネスは、教える内容はそれぞれ異なりますが、サービスを提供する側が「先生」、顧客側が「生徒」という関係になります。当たり前のように思われるかもしれませんが、これが教育ビジネスの最大の強みなのです。

例えば、コンビニエンスストアに代表される小売業、ラーメン店のような飲食業では、事業者と顧客の関係は「店員とお客」となります。当然ですが、店員とお客の関係は対等です。しかし、昨今は「客である=お金を払っている」という立場が誇張されて、過剰なサービスを要求されたり理不尽なクレームがあったりなど、事業者と顧客の関係に対する認識がトラブル発生の土台になっている場合も少なくありません。

一方で、教育のように「先生と生徒」という認識が最初からある場合、サービスに対する理不尽なクレームなどは、他の業種と比較すると起きにくいといえます。授業料として顧客が支払うお金を「月ごとの謝礼」という意味で「月謝」と呼ぶのも、その関係性の表れの一つと言えるでしょう。

顧客がお店のファンになって、そのお店が提供する様々な情報や提案を自分の生活に取り入れるようになることを「マスター・ビジネス」と呼ぶことがあるそうですが、教育は「マスター・ビジネス」の土壌がはじめから作られている非常に珍しいビジネスなのです。

もちろん、先生が満足の授業や期待されている指導を提供できなければ、クレームも発生しますし悪い評判が立ち顧客数は減少します。「先生と生徒」であれば何でも大丈夫ということではありません。そのため、先生としては常に教える技術や知識をブラッシュアップする必要があり、研修を制度化しているかどうかが重要なポイントになるのです。

残りの2つの特長は、次回にご説明したいと思います。

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